■一緒に学ぼうバイオマス講座

【目次】



1. バイオマスとは?

バイオマスとは?



・ 再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源(石油など)を除いたもの。
・ 太陽のエネルギーを使って生物が合成したものであり、生命と太陽がある限り、枯渇しない資源
・ 焼却等しても大気中の二酸化炭素を増加させない、カーボンニュートラルな資源


バイオマスの種類は?

大きく3つのグループに分けられます。


カーボンニュートラルとは?

直訳すればカーボンは炭素、ニュートラルは中立なので「環境中の炭素循環量に対して中立」となります。
石油などの化石燃料を燃焼させると、大気中のCO2が増加し、地球温暖化を引き起こすとされています。
しかし、バイオマス由来の炭素は、もともと大気中のCO2を植物が光合成により固定したものなので、燃料などによりCO2が発生しても、大気中CO2の実質的な増加ではないということです。



日本のバイオマスの賦存量・利活用量は?

わが国のバイオマス賦存量・利活用率(2008年)

※「食品廃棄物」の利用率は、グラフ作成時において20年度の統計結果が公表されていないため、19年度の統計結果を基に算出。


今、なぜバイオマスなの?



化石資源の使用は、大気中のCO2を増加させる一方でしたが、生育過程でCO2を吸収するバイオマスを利用することで、温暖化の進行を緩和することができます。
さらに、バイオマスは私たちの手で再生することが可能な資源です。
地球環境を守る鍵は「バイオマスの有効活用」にあるのです。


日本の取り組みは?


バイオマス資源を最大限有効に活用していくため、政府は平成14年12月に「バイオマス・ニッポン総合戦略」を策定し、バイオマス利用促進に向けて、国家プロジェクトとして取り組みを開始しました。
平成18年3月には、これまでのバイオマスの利活用状況や平成17年2月の京都議定書発効等の戦略策定後の情勢の変化を踏まえて見直しを行い、国産バイオ燃料の本格的導入、林地残材などの未利用バイオマスの活用等によるバイオマスタウン構築の加速化等を図るための施策を推進しています。
また、バイオマス活用推進基本法案が平成21年6月5日、参議院本会議において全会一致で可決成立されました。




2. バイオ燃料とは

バイオ燃料とは?

バイオ燃料とは、「バイオマス」を原材料として作られる燃料のことです。

バイオ燃料がいま世界中で注目されています。
それは、化石由来の資源であるガソリンや軽油を代替することで、二酸化炭素の発生抑制に寄与できることから、地球温暖化の抑制効果が期待されています。
わが国では、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大に向けた工程表が作成され、政府全体でバイオ燃料の生産と利用拡大に向けた取り組みが開始されました。
民間・研究機関等では、既存のバイオエタノールに関する研究をもとにした大規模な生産や、バイオディーゼル燃料の生産・利用に関する取り組みが進んでいます。


バイオ燃料の種類は?

バイオ燃料には、固形燃料・液体燃料・気体燃料の3つに分類することができます。
特に注目されているのは、液体燃料のバイオエタノール(ガソリン代替)と、バイオディーゼル燃料(軽油代替)の2種類です。
また、バイオエタノールについては、3グループの原料から製造されています。



バイオエタノールの製造方法は基本的にお酒と同じです。
一般的に、さとうきびなどの糖質や米、さつまいも等のでんぷん質作物を原料に、これらを糖化・発酵させ、濃度99.5以上の無水エタノールまで蒸留して作られます。
また、稲わらや廃材などのセルロース系の原料から、エタノールを製造することも技術的には可能となっています。
しかし、セルロース系原料からの糖化はでんぷん質原料よりも技術的ハードルが高く、現在は硫酸による加水分解を利用した手法が主流です。
そして、実用化には、低コスト化に向けた技術開発が必要となっているのが現状です。



バイオディーゼル燃料の代表的な製造方法として、廃食用油を原料として粘性や引火点を低くするためにエステル化(アルカリ触媒とメタノールを混合)させて作る「アルカリ触媒法」があります。
この方法が工業プロセスとして完成し、一定の品質が確保でき、安価にできるものとして主流となっています。
その他にも「酸触媒法」「酸素法」「超臨界法」「超音波法」などがあります。
また、油糧作物からの直接製造は、コスト面のハードルが高く、国内ではほとんど行われていません。


その他には?

その他にも、バイオガス・セルロース由来ガス・木質燃料・畜ふん燃料・汚泥燃料・パルプ黒液燃料などがあげられます。
九州バイオマス発見活用協議会では、輸送用バイオ燃料はもちろんのこと、その他の燃料にも注目し、本資料で県内一部のバイオ燃料施設の調査シートと、付録で九州バイオ燃料等製造施設マップ2009を作成しました。
ご活用頂ければ、幸いです。




3. バイオマスタウンとは

バイオマスタウンとは?

バイオマスタウンとは、地域において、広く地域関係者の連携の下、バイオマスの発生から利用までが効率的なプロセスで結ばれた総合的利用システムが構築され、安定的かつ適正なバイオマス利用が行われているか、あるいは今後行われることが見込まれている地域のことです。



市町村が中心となって、地域のバイオマス利用の全体プラン「バイオマスタウン構想」を作成し、その実現に向けて取り組みを進めていきます。


バイオマスタウン構想策定・公表までの流れは?




バイオマスタウン構想を公表するメリットは?

・ タウン構想は、都道府県・関係府省において共有されるので、地域の取り組みが関係機関に理解されやすい。

・ タウン構想が公表されれば、インターネットを介して、全国的に取り組みが紹介される。
 (地域のPR、バイオマス活用企業の誘致などが図れる。)

・ タウン構想の実現に向けた積極的な支援が受けられる。
 (例:農林水産省 地域バイオマス利活用整備交付金の優先的支援。)




現在のバイオマスタウンの数は?

バイオマスタウンは、全国で221地区222市町村(平成21年11月末現在)、そのうち九州では41市町村がバイオマスタウン構想を策定し、公表されています。
また、平成22年度までに全国300市町村の公表を目標としています。

福岡県(1大木町・13立花町・20築上町・31赤村・40川崎町)
佐賀県(6伊万里市・36佐賀市・37唐津市)
長崎県(7西海市・9対馬市・32佐世保市)
熊本県(5南阿蘇村・15水俣市・16あさぎり町・17天草市・19御船町・ 23玉東町・25多良木町・38山鹿市)
大分県(2日田市・18宇佐市・24佐伯市・27九重町)
宮崎県(4小林市・8門川町・10都農町・26えびの市・28日向市・41延岡市)
鹿児島県(3南大隅町・11いちき串木野市・12志布志市・14曽於市・21西之表市・22南種子町・29鹿屋市・30中種子町・33姶良町・34錦江町・35宇検村・39屋久島町)

※市町村名の前の数字は、九州内公表順  ※市町村の表示は、公表順



4. 出典

1.2.3. 農林水産省
「よく分かる資源・環境対策 地球環境問題と今後の農林水産政策の課題 バイオマス利活用(その1)(その2)」
<http://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/s_siryou/index.html>(最終アクセス平成21年8月31日)

1.2.3. 日本有機資源協会(JORA)
パンフレット「バイオマス・ニッポン知ろう!見つけよう!バイオマス」(一般向け)平成20年11月第三版
パンフレット「バイオマス・ニッポン知ろう!見つけよう!バイオマス」(子供向け)平成20年11月第三版
パンフレット「あなたのまちもバイオマスタウンに! 197市町村」平成21年3月改定版

1.[我が国のバイオマス賦存量・利活用量(2008年)]
農林水産省
「バイオマス・ニッポン総合戦略推進アドバイザリーグループ 第12回会合 配布資料一覧 参考資料2 我が国のバイオマス賦存量・利用率(2008年)」
<http://www.maff.go.jp/j/biomass/b_advisory/ad_dai12/pdf/ref_data2.pdf>(最終アクセス平成21年8月31日)

3.[バイオマス構想を策定するメリットは?]
農林水産省
「バイオマス・ニッポン総合戦略推進アドバイザリーグループ 第12回会合 配布資料一覧 資料2.2バイオマスタウン加速化戦略 発展したバイオマスタウンのイメージ」
<http://www.maff.go.jp/j/biomass/b_advisory/ad_dai12/pdf/data2-2.pdf>(最終アクセス平成21年8月31日)

3.[現在のバイオマスタウンの数は?]
九州農政局
「九州バイオマスタウンマップ」
<http://www.maff.go.jp/kyusyu/kikaku/baiomasu/map.html>(最終アクセス平成21年8月31日)



バイオマスくん

編集 九州地域バイオ燃料利用推進委員会
九州バイオマス発見活用協議会
Association for Identification and Utilization of Biomass in Kyusyu
事務局 株式会社TRES
Administrated by TRES ltd.
〒812-0016 福岡県福岡市博多区博多駅南1丁目8番13号 博多駅南Rビル1階
TEL:092-413-0117 FAX:092-413-0116 E-MAIL:info@q-biomass.jp
http://www.q-biomass.jp/




 

当ホームページ内の写真・画像およびイラストなど全ての内容につきましては無断転載・転用を固くお断りいたします。
農林水産省
平成21年度地域における環境バイオマス総合対策調査(九州地域調査事業)
平成21年度 九州バイオマス発見活用協議会